開戸日記

カクコト・イイコト

将来的に自動車を保有する人間は「富裕層」と「趣味」と「事業主」に分けられる

昨今、自動運転車の進展が目覚ましく今後数年のうちに自動運転車が普及していくのではないかと業界内では予測されています。

そして自動運転車が普及した未来に対応しようと、ある企業は人工知能のチップを開発したり、自動運転車用のソフトウェアを開発したりと次の覇権をせっせと狙っています。

ただ自動運転車が普及した未来で、ほぼ確実に言えることは、今みたいに当たり前のように一家に一台、自動車があって当たり前の未来は無くなるということ。

交通が変わり、進化することで、それまでの都市の在り方が変わる。何故なら今ある交通機関は「乗り物」によって構造が決まってしまっているから。

自動運転車が普及した未来には今までのように無駄な道路や広い駐車場が必要なくなりスムーズになります。その代わりに住宅や娯楽施設が増え、都市がより豊かになるでしょう。

要らないモノが消え、本当に必要な物だけが残る未来。

では自動車の在り方はどう変わるか?


僕は自動車を保有する人は「富裕層」「趣味」「事業主」に分けられると考えています。

そもそも自動車を保有すること自体が贅沢という価値観に変わる筈です。

現状今でも自動車は購入するのに一般人としては高級なお金、税金、維持費、ガソリン代とか諸々のお金がかかります。ただ移動するためだけのモノに、普通ならここまでお金をかけるのはおかしいです。

しかし自動運転車が普及した未来は違います。もう自動車を保有するという考え方はありません。


何故なら家から出て…いや玄関でもいいですが、そこでスマホかスマートウォッチでアプリを起動。ボタンをタッチすると、ものの数分で自動運転車がやってきます。

料金はタクシー以上に安いです。いや、もしかしたら電車代よりも安い。一回に付き100円程度…いや、もっと安いかも。それ程までに自動運転車が普及しています。そして自動運転車は大量の交通データから適切な道を算出し、無駄のない交通を実現します。

そして同じ交通を利用する乗客が、もう1人現れます。狭い自動車に自分以外の人物が相乗りするのです。普通なら自分1人しかいない快適スペースに誰か別の人物が乗ることはデメリットに感じるかもしれません。そもそも料金はどうなるのでしょうか?心配ご無用です。

システムがしっかりと個人個人で別々の料金プランを設定されています。そもそも料金の支払いは現金ではありません。クレジットカードか、もしかしたら仮想通貨もオッケーです。

狭い自動車の中…というのも狭い考え方です。自動運転車が普及した未来、もはや自動車という考え方を取っ払っていいのです。ミニバンやバス、あるいは全く新しい形の自動車が、それまでとは違った新しい乗り物として提供されます。


そして目的地へ到着。
ここまでの距離は電車なら1時間はかかるところを、自動運転車ならば30分以下に抑えられます。いや、もしかしたらもっと早いかもしれません。それ程、自動運転車は効率的なのです。

何故なら路線は固定化されていない、渋滞も起きない、事故の不安もない、人工知能が予め予測した交通経路に則って運転されているからです。

これは帰りも同じです。スマホでボタンを押し、自宅まで帰ります。ちょっとコンビニに寄るのもオッケーです。


こんなに手軽に行き帰りが出来て、しかも安い。わざわざ自動車を保有する必要がありますか?


では逆に自動車を保有する人々はどういう考え方をしているのか?先ほど述べたように「富裕層」「趣味」「事業主」に分けられると述べました。


まず富裕層の考え方としては、もはや彼らにとってはスマホを取り出してボタンを押すということ自体、時間の無駄だという考え方です。家に出たら数分待つことなく、自分が保有する自動運転車に乗車し、職場へ行く。帰りも同じです。

またメンテナンスを懸念して自動運転車を一台以上保有することでしょう。彼らにとっては自動運転車を保有することは自慢や税金対策以上に「圧倒的な効率」を生み出すに過ぎないのです。


では趣味は?
これは言わずもがな、自分で運転するということが楽しみに感じる人です。自動運転車を手動に切り替える、というのもアリですが、公共の乗り物である自動運転車を勝手に手動に切り替えるのは安全性を考えてリスクに感じます。

そもそも自動運転車が今と同じ車になっているかどうかさえ不明です。先ほども述べたようにバスやミニバンのような形をしているかもしれません。

バスやミニバンを運転することも楽しいかもしれませんが、彼らは自動車で運転することを趣味と感じる以上に、自分で自動車をカスタマイズしたい生き物です。

なので、自動車を運転する趣味の方も自動車を保有することでしょう。

また蛇足ですが、彼らは趣味の運転でお金を稼ぐことも行います。日本の相乗りスタートアップCREWは、自動車の移動で報酬を与えるのではなく、移動させてくれた感謝料を与える仕組みになっています。

ドライブという体験をさせてくれたことに対する感謝料。おそらく自動運転車が普及した未来では、どれも仕組みが整然とされ、当然とされ過ぎ、あまり面白いものではないかもしれません。

しかし誰かが自分のためにドライブしてくれるという価値は、自動運転車が普及した未来だからこそ価値が輝きます。その未来では自動車を運転することでお金を稼ぐ仕組みが、まだ残っている筈です。

事実Lyftも、元々は感謝料からの支払いが主流だったようで、もしかすると自動運転車が普及した未来でも既存の配車サービスを残すかも。

ただLyftも自動運転車に力を入れているので謎…


そして肝心なのが「事業主」です。
事業主とは言葉の通り、自動運転車を保有して、それを事業としている人です。どういうことでしょうか?

自動運転車が普及した未来、おそらく自動運転車の先陣を切るのはGoogle「ウェイモ」UBERです。

自動運転車が解禁した時、いっせいに各地で自動運転車を普及しに来るでしょう。しかし、わざわざ自社で自動運転車を各地に置くのはコストがかかります。投資が追いつきません。

そんな時、UBERは焦ります。
ただでさえ世界各地でUBERがシェアを握るとされたライドシェア市場を、各地で勃興した別のライドシェアスタートアップに盗られているのに、今度は自動運転車でその動きが加速されてしまうのではないか。

これはUBERのピンチではないか?
思考がちょっぴりカラニック的ですが、実際、自動運転車を各地へ配置させるのは資金力の勝負になる筈です。そして、誰もが覇権を、独占を狙いたい。スタートアップあるあるです。独占することが勝利の条件です。

そこでUBERは考えました。
UBERには、これまで培ってきた配車プラットホームがある。ここに自動運転車も登録できるようにしよう。

要は個人が保有する自動運転車を、UBERのプラットホーム内で活用させようとする動きです。

こうすればUBERはどこよりも早くUBERの自動運転車を展開できる他、個人が保有する自動運転車に、これまでUBERが提供していた通りに資金を稼ぐ手段を与えます。

この動きは加速し、配車プラットホームへ個人が自動運転車を登録して自然に資金を稼ぎ、UBERは勢力を拡大。優れたプラットホームを武器として振りかざし、他を圧倒します。

ようは配車プラットホームを持つ企業が優先に出るのではないかという考えです。彼らはライドシェアで優れた仕組みを整えました。自動運転車が普及した未来でも、この利点が大いに活かせるのでは?

だからUBERに限定しなくてもいいのですが…さて話の続きを。

そして個人が保有する自動運転車を配車プラットホームに載せる動きが加速って、ちょっと待った。何故、個人が自動運転車を保有しているの?

あなた言ったじゃないですか。
個人が運転車を保有すること自体が贅沢品。個人が自動車を持つことはあり得ないみたいなことを。

はい、たしかにあり得ません。
しかし自動運転車が解禁され始めた時期なら、まだ話が違います。この段階では社会にはまだ自動運転車が普及した状態ではありません。

なので個人も自動運転車が今後当たり前になり、個人が自動運転車を保有しなくてもいいという考え方には至りません。

さらに自動運転車が解禁され始めた時、物珍しく購入する層と必要性が感じられた層が一定層いる筈です。


それが「イノベーター」アーリーアダプターです。彼らが購入した自動運転車を利用していない時に小遣い稼ぎの手段にさせる。これがUBERのような配車プラットホームの狙いです。

そして個人による自動運転車の小遣い稼ぎがスタート。そして順々と時は流れ、これを事業として行う者が現れます。「事業主」の誕生です。

彼らは自動運転車を何台も保有してプラットホームに登録します。ライドシェア時代なら規制されそうですが、自動運転車が数多く必要とされる時代には、わざわざ規制する必要性はないかも。大量過ぎると規制されるかもしれませんが。

要は新しい形のタクシー企業でしょうか?ただ、タクシーよりも一回の乗車代金は圧倒的に低いです。その分よく利用されるので回数は稼げるので安定すると思いますが。


そして事業を展開していく内に彼らは思い付きます。マネタイズを複数化できないか?そこで考えたのがラッピング広告車内広告。そして自動車内で販売する軽食品です。

このラッピング広告や車内での軽食品販売は、すでに東南アジアのスタートアップが事業として行っており、急速に普及しています。

ラッピング広告の仕組みとしては車外に広告をラッピングし、人の目が付きやすい交通経路を回ることで広告収入が手に入るという、リアルなアドテクという感じでしょうか。

車内の軽食品販売はペットボトルの飲み物や簡単なお菓子が中心となるはずです。

そして車内の広告は従来のタクシーにある通り、席の頭に設置されるデバイスから広告が流れます。多分もっと効率的に配置されるかもしれません。

このような乗客を乗せる以外で資金を稼ぐ仕組みが業界の主流となり、そして付加価値の追求に走ります。

Wi-FiがあったりTVがあったり、音楽を無料で聴けたり。あるいはリッチ感を味わえる自動運転車が登場したり、他と大きく差別化されるでしょう。

これらが配車プラットホーム内で動かされるので、プラットホーム側は効率的にお金を稼げていいですね。もしかしたらブロックチェーンで効率化されているかもしれませんが…


と、このように自動運転車が普及した未来では「富裕層」「趣味」「事業主」と3種類の人間が自動車を保有する未来が来ると予測します。


予測というより想像、妄想が入り混じっていますが、僕は本当にそんな未来が来ると期待しています。以上。

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