昨今ではYouTuberの他にも数多くのインフルエンサーが勃興してきていますが、こうした影響力の強い個人をマネジメントし支援するスタートアップ企業も流れるように多く誕生しています。今回は、こうしたYouTuber並びにライバー、VTuber、インスタグラマー、ブロガーを支援するスタートアップ企業をまとめてみました。
YouTuber
インフルエンサーの代表格である「YouTuber」。詳しくない方でも「HIKAKIN」の名前を聞いたことがないという人はいないでしょう。そのYouTuberを主に支援するスタートアップ企業をまとめてみました。
UUUM
大物YouTuberである「HIKAKIN」が在籍し、他にも多数の人気YouTuberを抱えている日本最大のYouTuberプロダクションであり、YouTuber中心のインフルエンサーマーケティングを行なっている企業としては初の上場企業「UUUM」。
彼らがやっている主な事業はMCN(マルチチャンネル・ネットワーク)です。MCNとは複数のクリエイター(YouTuber)と提携し、視聴者獲得からコンテンツのサポート、クリエイターとのコラボ、著作権から収益化まで一貫して支援するサービスです。
要はYouTuberのマネジメントを総合的に行うサービスであるとの理解で良いかもしれません。
UUUMはこれ以外にもグッズ販売、画像販売、イベント運営、ゲーム運営、最近ではクリエイター育成事業など数多くの分野に乗り出しています。
VAZ
UUUMと同じくYouTuberのマネジメントを総合的に行うMCN事業を行なっている「VAZ」。在籍している人気YouTuberとして「ヒカル」といった話題になったYouTuberがいますね。
他にも人気YouTuberを多く抱えていますが、VAZは他にも女性向けメディア「Mel」や非大卒向けの就職支援サービス「バズキャリア」など、トレンドに合わせるというより常に若者のニーズに合わせた事業を特徴としています。
BitStar
インフルエンサーと企業のマッチングを支援するプラットホームを運営する「BitStar」。
主にYouTuberを対象としており、企業とのタイアップを通してYouTuberの収益を支援する他、企業にとっては効率的にYouTuberに対して総合的なインフルエンサーマーケティングを行える特徴があります。
ライバー
動画配信者と言えばYouTubeが今まで代表されていましたが、現在ではYouTube以外にもライブ配信プラットホームである「17live」や「SHOWROOM」などが誕生し、そこで活躍する個人も増えています。
そういったライブ配信者を支援するスタートアップも誕生してきました。
Coupe
元々は美容師とサロンモデルをマッチングするプラットホーム「Coupe」を運営していた同社。並行して行なっていたソーシャルマネジメント事業の「COUPE MANAGEMENT」を運営していたことを皮切りに「ライバーマネジメント部」を発足させました。
この部署は「COUPE MANAGEMENT」の機能としての設置され、ライバーの育成、そしてプラットホームとを繋いでいく方針です。
すでに「17 live」「OPENREC.tv」「SHOWROOM」「Pococha Live」「MixChannl」「LINE LIVE」の6つのプラットホームとも提携しており、ライバーのマネジメント領域に力を注いでいきます。
ライバーライツ
2018年8月に創業されたばかりの、まだ若手の会社です。
創業時より「17live」や「SHOWROOM」で活躍するライバーと契約し、所属するライバーに対して企業案件の紹介やキャスティング、ノウハウ提供から企画支援、配信スタジオから機材の支援まで幅広くライバーに関わる支援事業を行なっています。
資金調達も完了しており、クルーズよりシードラウンドの資金調達に成功しています。
VTuber
多すぎる...
既存のVTuber事務所だけでなく、大手企業も数多く参入しており、さらにまだ参戦しようとしているスタートアップ企業もチラホラと見え隠れてします。
流石にこれら全てを網羅するのは途方に暮れてしまうのでVTuberに関してはVTuberに関しては事務所を除き、支援事業を中心に行なっている企業のみ取り扱います。
Activ8
VTuberを企画・運営・プロディースを主な事業としている「Activ8」は、4000体も存在しているVTuber業界をさらに盛り上げるべく、個人から企業までVTuberを支援するプロジェクト「upd8」を運営しています。
このプロジェクトは企業とのタイアップを行うエージェント機能、コミュニティーの創出やイベントの実施などVTuberに対しての総合的な支援を行なっています。
すでにトップVTuberであるキズナアイも参加しており、gumiのTokyo XR Startupsからも投資を受けています。
株式会社gumiが運営するファンドと投資(出資)先企業まとめ - 開戸日記
今後はVTuberへの人材確保、支援、そしてVRシステムの拡大を目指しており、今まで以上にVTuber文化をより一層盛り上げていきそうです。
インスタグラマー
最近ではインスタを使って小遣い稼ぎをするというのも聞いています。人気インスタグラマーになれば一投稿だけで多くの収入が入るとか。そんなインスタグラマーをサポートするスタートアップ企業も誕生しています。
レモネード
最近UUUMに買収されたレモネード株式会社。彼らが行なっているのはInstagram特化型のインフルエンサーマーケティングプラットホーム「influencer One」。
インフルエンサーの選定から依頼、分析からコンテンツの管理まで全ての作業を一貫して提供するツールを提供しています。これにより、企業はインスタグラマーに対して簡単に発注することができるだけでなく、インスタグラマーも簡単に収益化することができます。
UUUMの買収で今後はよりインスタグラマーと密接になっていくだけでなく、インフルエンサーの裾野の拡大を狙っていく方針です。
ブロガー
上記がどれも動画や画像関連の個人を対象としていますが、ここからは個人は個人でも文章や画像を中心に伝える「ブロガー」を支援するスタートアップです。
現在多くの個人がプラットホーム内で活躍されていますが、古くから個人で活躍してきた選択肢にブロガーがありました。そのブロガーを支援するスタートアップが遂に誕生するとは、今後はブログ業界もより一層盛り上げりそうです。
drip
人気ブロガーをネットワーク化することで企業にマーケティング方法を提供するサービス「dirp」。
もともとは人気ブロガーでもあった堀口氏がYahoo!在籍時代に現在のdripの事業を提案したのですが、多くの人から自分でビジネスとしてスタートさせた方がいいと進言され、起業するに至りました。
ブロガーというと、どうしても稼げないイメージが強いですが、彼らは企業では書けない深い記事コンテンツを生成する力が凄く、ニッチで深いファンを多く抱えているところが特徴的です。
しかし、このような人気ブロガーに企業が広告を依頼する場合にはどうしても接点が乏しく、それを繋ぐプラットホームも存在しませんでした。この課題を解決するのがdripです。
仕組みとしては企業がタイアップ広告や記事広告をブロガーに出稿したい場合、dripが認定した「バリスタ」と呼ばれる人気ブロガーへ依頼します。この際、依頼したコンテンツがステマのような嫌らしいコンテンツにならないように信頼性も確保、これにより多くの企業が人気ブロガーへ広告を出稿しています。
既に2000万円の資金調達に成功しており、今後はブログ数を増やすよりも一つのブログの価値を高めていきたいそうです。
おまけ
動画配信が昔より一般的になってきて、YouTuberという存在も一般的になってきました。もしかしたら今後は小学生からでもYouTuberを目指すというのは当たり前になっていくのかもしれません。
実際、小学生がなりたいものランキングではYouTuberが一位ですし。ということは小学生向けのYouTuber教室が意外と流行るかもしれませんね。
YouTuber Academy
ありました!
まさか小学生向けのYouTuber教室を事業として既に行なっている企業があるとは...運営しているのはFULMA株式会社。あのソーシャルエンジェル投資を行ない、恵比寿のインキュベーション施設「COEBI」を運営している黒越氏より出資を受けている企業です。拠点も同氏の運営しているインキュベーション施設を活用し、事業を進めています。
彼らが行なっている事業は「YouTuber Academy」といい、その名の通り小学生に向けたYouTuber教育事業を行なっているのです。事業の内容としては実際のYouTuberが行うような動画の企画、撮影、編集まで一貫して行い、他にも子どものICTリテラシーを育成する教育を行なっています。カリキュラムが子どもに沿うことを意識しており、主体性を尊重しているのが伺えます。
これからの時代、個人の活躍がますます広がると同時に子どもの機会や選択肢がより一層増してきます。もしかしたら早い段階でYouTuberを目標に努力する小学生が増えていくのかもしれません。
まとめ
プラットホームやマッチング、事務所やネットワーク形成、さらにはツールなど形は違えど様々な支援サービスが登場していますね。
中でもユニークに感じたのはクリエイター、インフルエンサーを育成する所に重きを置いている点です。UUUMやActiv8、dripなどはネットワークを形成してクリエイターやインフルエンサーを囲むだけでなく、育てることにも重きを置いている風に感じます。
ただただクリエイターを囲むだけではディズニーに買収されたMCN大手のメーカースタジオの二の舞になると踏んでいるのでしょうか?
いや、というより育成することでコンテンツの価値が高まれば、それでけネットワークとしての価値が高まるということでしょうか?ただ数を集めるより、質が重視する戦略が一般的になるのかも。
また昨今過熱気味のVTuberですが、既に多くのVTuberが登場しており、多数のVTuber事務所を運営するスタートアップも登場しています。正直、まだまだ登場して来そうな雰囲気まであるのですが、なんとなく先行者優位が位置付けられている雰囲気も見え隠れするような...
それとクリエイターやインフルエンサー向けのプラットホームというのも面白いですね。以前取り上げたBratの創業者はインフルエンサー向けの収益機会を与える事業をしていて、それを売却した資金でBratを創業した話を聞いたことがあります。
YouTubeに長編オリジナル動画コンテンツを配信するスタートアップ「Brat」とは? - 開戸日記
今回紹介したレモネードが似たようなイメージです。個人で活躍する人が増えれば、それだけより多くの収益機会を与えるプラットホームが誕生しそうですね。
今後もますます拡大が見込まれる市場なだけに要注目です。