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LGBTQ向けWebサービスを展開するスタートアップ国内・海外の8選まとめ

昨今、色々な意味からか取り沙汰の多く関心が高まっているLGBTQですが、そんなLGBTQに向けてのサービスを提供するスタートアップも国内、それから海外で誕生しています。今回はそんな大きなトレンドとなりつつあるLGBTQに向けてサービスを展開するスタートアップを国内と海外でまとめてみました。


国内のLGBTQサービスを展開するスタートアップ

国内だと代表的なスタートアップを2社確認できました。うち一社はLGBTQ向けサービスをメインに、もう一社は他の事業と両立させて運営しています。


JobRainbow

LGBT求人サイト「ichoose」を運営している「JobRainbow」。以前ご紹介したこともある通り、LGBTの方々に向けて求人サービスを提供しているスタートアップで、5000万円の資金調達に成功しています。元々はスモールビジネスとしてやってきた同社ですが、今後の進展に向けて大きく資本を投下してきました。

創業は2016年1月とまだ2年しか経過していない10数名の若手スタートアップです。代表もゲイで、在学中にLGBTの就労支援事業を手がけていたことがきっかけで創業へ。LGBTの理解を促進していくため企業への研修やコンサルも同時に行なっています。


JobRainbowについての別記事はこちら
「障がい者」「LGBT」「高卒」ニッチな需要を掴む人材企業まとめ - 開戸日記


Letibee

LGBT向けサービスを中心に事業を行なっている企業「Letibee」。これまで企業向けの研修の他、Webメディア「Letibee LIFE」の運営。さらにLGBT特化型のコミュニティアプリ「nesty」を運営しています。

特に興味深いのが「nesty」で、それまでLGBTの方々ができなかった相談や気軽なお話などをアプリを通してLGBTであることを隠さずに交流することが可能になっています。

ただ残念ながらApp Storeを検索してみたところ、すでにサービスはクローズしてしまっている様子。昨今では様々なコミュニティサービスが誕生し、多くの方がコミュニティに大きなマネタイズ価値を見出そうとしています。

「nesty」は2016年頃に紹介されたサービスなので、もしかすると時代を少し先取りし過ぎたのかもしれません。これからのサービス展開に期待です。


アラン・プロダクツ

ユナイテッドに10億近くで買収された「アラン・プロダクツ」。「ヘアラボ」といった髪の悩みを解決するポータルサイトを運営していることで有名な同社ですが、ここ最近力を入れている事業としてLGBTQ向けのサービスも2つ運営しています。

1つは「Palette」。同社が得意とするWebメディア運営のノウハウを活かし、LGBTQの方々に対して様々な情報を伝えています。

もう1つは「PaletteQ」。完全匿名Q&Aサービスで、LGBTQの方々でしか分からない小さな疑問から恋愛まで手軽に相談できるサービスになっています。

この「PaletteQ」はアプリが提供されており、App Storeの評価を見るとコミュニティとして良い雰囲気と好評です。


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海外のLGBTQサービスを展開するスタートアップ

続いて、海外でLGBTQ向けのWebサービスを立ち上げているスタートアップをまとめてみました。意外と中国でサービスが大きく立ち上げられている印象ですね。また日本ではコミュニティや求人、Webメディアなどが立ち上げられていますが、海外ではマッチング系が多い印象。資金調達も過熱しています。


Zank

中国で運営されているゲイ向けオンラインコミュニティ「Zank」。なんと誕生したのは2013年。かなり先見の明があったようです。今では徐々に浸透してきたLGBTの関心も、2013年の当時ならば、まだ多くの方が抵抗と偏見を持っていたことでしょう。

Zankの設立者Ling Jueding氏自身もゲイで、10年以上前のネットのLGBT向けコミュニティは閉鎖的であったのに対して、最近の世相ではよりオープンになり、LGBT向けサービスが広がっていると感じていたそうです。

また市場がニッチではないかという指摘に対しては、中国の7000万人ほどがLGBTの人々であると主張しています。事実、「Zank」は立ち上げから3年で30万人のユーザーを獲得することに成功しました。

また資金調達に成功しており、マネタイズについてはプレミアム機能への課金、グッズ販売、イベント運営を予定しています。機能的には中国のマッチングアプリ「Momo」を目指すとのこと。


iHomo

ゲイとレズに「形だけの結婚」を提供するサービス「iHomo」。これは中国の文化に根付く問題で、多分、日本でも同じ問題があるかもしれません。中国ではまず、結婚して子どもを持つことが常識で、当たり前という認識がありました。

「iHome」の設立者Xiaobai Ou氏も例外ではありません。この問題を解決させるため、Ou氏が行なったのは「形婚」という「形だけの結婚」でした。これをキッカケに、中国で同じように悩まされている、特にLGBT向けで、ゲイとレズを結びつける「形婚」を提供しようと考えたのです。

それが「iHome」。

iHomeではゲイのコミュニティとレズのコミュニティを結びつけ、お互いの形婚相手を探してマッチングすることができるサービスです。伝統的で保守的な社会ではLGBTはまだまだ受け入れられる余地はありません。日本も同じでしょう。

そんな社会では形婚はあってもおかしくないプロセスだとし、事実LGBTに、特にゲイに大きな需要が高まっています。Ou氏はLGBTの方々にとって社会状況にとって形婚は比較的に選択しやすいものだと主張しています。

マネタイズは有料会員とマッチングの仲介手数料、さらにウェディングやマタニティ、法律などオンラインやオフラインへの様々なサービスを予定しているとのこと。さらに驚いたことに、このサービスは資金調達をせずに2017年まで運営してきたとのこと。今後のサービス展開に期待が高まります。


Lesdo

2013年に中国でリリースされたレズビアンのマッチングサービス「Lesdo」。レズビアンに向けてのサービスというのも斬新かもしれませんが、このサービスの大きな特徴はそのマーケティング

なんと自社でドラマを制作して、それをインターネット上で配信しているのです。制作されたドラマの一つ「Miss You Always」という35分の作品はBaiduの動画サイト「iQiyi」で配信され、なんと39万回以上も視聴されました。

このLesdoのコンテンツ制作が上手く奏を攻して安価に新規ユーザーの獲得、さらにマネタイズを加速させることに成功しています。そもそも中国ではLGBT向けのターゲット広告ができないので、このような大掛かりなコンテンツ制作の方が効果的なようです。

ちなみに内容はもちろんレズビアンの話。当初はWEBサイトしか開設されておらず、メンバーも3人から4人という段階。まずはSNSとしてサービスが立ち上がったそう。その後モバイルアプリの浸透により2013年よりモバイルアプリがスタート。2015年には資金調達に成功しています。

ちなみにですが、ホワイトデーはもう日本だけのものではなく、中国や台湾、それに韓国まで広がっているそう。Lesdoによれば絶好のチャンスとしています。


Blued

中国生まれのゲイ向けマッチングアプリ「Blued」。なんとこのマッチングアプリLGBT支援を行うNPO団体「Danlan」から2000年に生まれ、当初はゲイのためのオンラインコミュニティだった背景を持っています。

それが今や世界最大のゲイ向けソーシャルネットワークとしてユーザー数2700万人、ユーザーの80%は中国の利用者だとされています。また度重なる資金調達の他、世界第2位を主張するゲイ向けソーシャルネットワーク「Hornet」の株式を取得して中国以外の国々へ進出しようとしています。

またライブストリーミングマーケティングによって収益を出している同サービスは、今後は新しい収益の柱として、ゲームやヘルスケアなどのサービスを伸ばしていく予定になっています。


Hornet

Bluedの投資を受けたゲイ向けソーシャルサービス「Hornet」は、米国と中南米へサービスを大きく浸透させています。

Bluedと比較するとユーザーの規模は少ないですが、それでも世界第2位のゲイ向けサービスを主張するように1500万人のユーザーを持ち、また関連サービスであるゲイ向けシティガイドの「Vespa 」と、LGBT向けコンテンツプロパイダの「Unicorn Booty」を買収し、出会い系サービスでありながらもコミュニティサービスとしての力を強めてきています。

今後Bluedの投資からどのような展開が見えてくるのか注目されます。


Popspoken

シンガポールのデジタルメディア企業である「Popspoken」は、LGBTQの他に、シンガポールのカルチャー集団を対象としたメディア運営を行なっています。

Popspokenは月8000PVを獲得しており、1万2000人以上のFacebookフォロワーを持っています。またPopspokenはシンガポールの中でLGBTのことを取り上げる数少ないプラットホームの一つでもあります。

最近ではFacebookの他にTwitterInstagram、またYouTubeにまでコンテンツの提供幅を広げています。メディア自体まだまだ始まった感が否めない同メディアですが、これからの進展、そしてLGBTにどういうアプローチを取っていくか注目です。


まとめ

国内だけでなく海外ではかなり勢いを増していますね...特にゲイ向けサービスの勢いは凄まじいです。日本では海外のLGBT向けサービスとは違ってマッチングアプリを提供している企業はまだ出てきていないように感じます。リサーチ不足でしょうか?海外ではユーザーも順調に集めて、マネタイズも順調なイメージ。買収や資金調達も盛ん。

お金が動く分野になってきていますね。今後はさらに勝者がハッキリしそう。国内では今後、どのようなLGBT向けサービスが誕生するでしょうか?にしても海外勢の侵攻が怖いですね...


参考
世界を変えるためにスタートアップを選択したーーLGBT求人事業「JobRainbow」がジェネシアVから5000万円の資金調達 - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)

株式会社アラン・プロダクツ

レティビーがLGBT特化型コミュニティアプリ「nesty(ネスティ)」をリリース - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)

株式会社Letibee - LGBT研修ならレティビー!

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中国のLGBTコミュニティをつなぐ、形式結婚斡旋スタートアップiHomo - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)

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