開戸日記

カクコト・イイコト

新興のニュースメディアを運営するスタートアップ海外・国内の事例22選まとめ

昨今ではAIやFinTech、クラウドVR、ARにブロックチェーンなど様々なテクノロジーが誕生し、そのテクノロジーを活かした様々なスタートアップが誕生しています。そんな中で「ニュースメディア」といったWebメディアのスタートアップは、どこか軽視されるものかもしれません。

しかし海外では様々なニュースメディアのスタートアップが誕生して、大規模な資金調達にも成功しています。今回はそんな新興のニュースメディアを運営するスタートアップをまとめると同時に、国内のニュースメディアのスタートアップも事例も少しまとめてみました。


海外の事例まとめ

海外では中国でニュースメディアを運営するスタートアップが多く誕生しています。特にテック系が多い印象ですね。またAIを利用したキュレーションメディアの勢いが加速している印象も見受けられました。その流れは欧米でも同じです。

逆に独自のニュースメディア、オリジナルコンテンツを提供するスタートアップになると、普通のニュースでは知ることのできない情報や違った切り口を提供するサブスクリプション制のニュースメディアが登場してきています。


Debug the World

中国のテック系メディア「Debug the World」は、2015年7月に誕生しました。もともとはCEOでもある「陶伟华」氏が1人で中国のSNSであるWeChatのアカウントからコンテンツを配信。現在ではアカウントには600万人以上のユーザーを抱えており、PV数は6億近くの超巨大メディアへと成長。チームも80人以上まで膨らみ、資金調達もテンセントなどから約5.1億円の調達に成功しています。現在では事業内容はECやクラウドソーシングテストにまで事業を拡大しています。

特にECの「Black Market」は、スマートハードウェア製品を販売するプラットホームなのですが、バイヤーが実際に製品を使用した記事を紹介することでBlack Marketへの導線になっています。運営しているDebug the Worldはテック系なので、テックに関心のある層を引き込みやすく、上手く相乗効果を生み出しているのです。

他にも注目できるところは高いですが、前に日本で流行したキュレーションメディアはECとの関連性が高いという話を聞いたことがあり、Debug the WorldはメディアとECの連携の一つの成功例ではないでしょうか?


The News Lens

台湾生まれの独立系ニュースサイト「The News Lens」は、もともとはガレージのような場所でCEOのJoey Chung氏を含めて3人で始まったものです。

最初のうちは苦労が絶えなかったそうですが、今ではYouTubeやTwitchの共同創業者から大規模な資金調達に成功する他、テックニュースメディア「INSIDE」、スポーツサイト「Sports Vision」、ライフスタイル・サブブランド「ELD」といった他のメディア企業を買収してバーティカルな分野へ進出、さらに台湾だけでなく香港、東南アジアから英語圏まで国際展開を加速しています。他にもライブストリーミングポッドキャスト、動画などの製品を開発しています。

このような急速な事業展開からか、チームメンバーが80人にまで拡大。サイトのユニークユーザーは900万人にまで達しています。

The News Lensの特徴は、そのニュースの中立性です。

ニュースメディアの多くは出資者の意向によって左右されやすい特徴を持っています。よほど大きな影響力を持つメディアではないと、この中立性を維持することは難しいです。例えば政治に関するニュースだった場合、どちら側の立場に立つ必要があるのかが重要な要素になることも。そこでThe News Lensは、取材先に対して公平な報告を行うという契約書への署名を求めます。この契約書への署名を行うことで中立性の高い信頼性のあるニュースメディアを維持することができるようになりました。

ニュースという敏感なメディアで、ここまで急速に事業を拡大できるスタートアップは珍しく映りました。

そしてこのメディアの急速な進展は、ユーザーの信頼性を担保に成長を加速しているところなのかもしれません。


36kr

中国の中関村を拠点にしているテックニュースメディア「36kr」。CEOはCC Liu氏で、36krの特徴的なところはテック系ニュースを配信することだけでなく、中国のスタートアップ起業家を支援しているところです。

彼らの活動にはインキュベーションスペース「Kr Space」の運営(36krも入居)、起業家向け資金調達サイト「気加」などを運営しています。他にもニュースサイトの36kr内にはスタートアップ企業のデータベースがあるなど、起業家目線の環境構築に大きく取り組んでいます。


Media Prima

マレーシアのメディア企業「Media Prima」。スタートアップなんかは微妙ですが、マレーシアでは大手に位置しています。グループ全体のビジター数が1000万人を超え、2015年には黒字。しかし2016年には赤字に転落しています。理由としては旧来のメディア事業であるTV、新聞、ラジオなどの事業が苦戦していることが挙げられます。やっぱりレガシーですね...後には引けません。これを打開しようと試みた策がデジタルメディア企業REV Asiaを買収しました。

REV AsiaはMedia Primaとは違い、デジタルコンテンツの制作に力を入れており、月間UUは500万人を超えています。REV Asiaの特徴はマレー語や中国語、英語など複数の言語を扱いながらニュースやライフスタイル、エンタメなど幅広いメディアを12ものサイトを運営しています。2016年度の時点で純利益は97万ドルも。

Media Primaは、この急進的なデジタルメディア企業を元に、デジタルコンテンツ、デジタルマーケティング、広告など複数の分野へ活かしていきたい考えです。

何だろう...「Rev Asia」について大きく取り上げればよかったかな。まぁ、レガシー企業のスタートアップ関心を取り上げたということで。


Brilio

インドネシアのミレニアル世代に特化したニュースポータルサイト「Brilio」。Brilioは2015年にCEOであるJoe Wadakethalakal氏とDanny Purnomo氏によって設立され、32のカテゴリー別に記事や動画を配信し、月間2000万人以上を超えるビジター数を持つメディアです。

さらにインドネシアのミレニアル世代のために信頼できるクレジットカードの比較プラットホーム「FULUS」を、金融サービス比較プラットホーム「Cermati」との提携からローンチ。FULUSは各カテゴリごとに用途別のクレジットカードを確認することができ、Brilioとのシナジー効果が出せるのではないかと期待されています。

クレジットカード比較サイトといえば、日本ではアフィリエイターが多く取り組みやすいジャンルに見えますが、インドネシアでは日本以上に金融サービスの比較サイトが多く広がっています。特にクレジットカードを必要とするミレニアル世代は多く、FULUSはここにフォーカスしています。

BrilioはKapanLagi Network、Orange Growth Capitalなどから資金調達にも成功しています。


Popspoken

LGBTQのスタートアップまとめでも一度紹介したシンガポールを拠点にするデジタうメディア企業「Popspoken」。内容としては以前もご紹介した通り、シンガポールの中では数少ないLGBTコミュニティを取り上げるWebメディアで、他にもシンガポールのカルチャー集団に迫るなど急進的なメディア企業です。

月間8000PVと1万人気以上のフォロワーをFacebookに持つ同社は、現在Webメディアの他にYouTubeにて動画を配信するなど配信チャネルを増やしている特徴もあります。


The Ken

インドのバンガロール発のサブスクリプション型ビジネスメディア「The Ken」。立ち上げたのは、CEOのRohin Dharmakumar氏と記者と元起業家を含めた4人です。利用料は国内ユーザー42ドル、国外ユーザー108ドルです。料金プランは他にも提供されていますが、注目すべきは扱っている内容。主としてテクノロジーやビジネスが中心で、他のジャンルも扱う予定になっています。

また内容についてはスタートアップを中心に取り上げるのではなく、退屈しない意外性のある情報を取り上げていきたいとDharmakumar氏は語っています。The Kenはユーザーのコミュニティをビジネスの中心に、チャネルとして無料、有料ユーザー向けにニュースのメールを送っています。

また有料の他に週間で読むことができる無料記事の提供も行なっており、そこから有料ユーザーへの転化を狙っています。広告は利用せず、主に有料ユーザーと、スポンサーを得るなどをしています。最近では企業向けプランも考えています。

The Kenが立ち上がった背景はインドの情報収集の質の低下です。多くの方がビジネスの情報に対して関心を抱かなくなり、記事の内容の質も劣ってきていることを危惧した背景がありました。これを何とかするためサブスクリプションをベースにしたビジネスメディアを創刊。

当初はソーシャル上に記事を配信していましたが、その後ニュースレターに変更。ニュースレターが上手くいったことを受けてWebサイトを立ち上げるに至りました。そしてWebサイトのローンチから2週間後に黒字化を達成します。

複数のエンジェル投資家から40万ドルの資金調達にも成功しており、今後はアプリの提供や記事ごとにコメント欄の設置。Slackチャンネルの開設や記事のジャンル拡大など複数の取り組みを強化していきます。


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The Information

速報性よりも、どこも書かれていない話を記事にして配信する「The Information」。内容はテック系、スタートアップ系の濃い情報になっています。サブスクリプション制になっており、月額39ドル。学生は19.5ドルからになっています。立ち上げたのはJessica Lessin氏。

メディアと同時にコミュニティ運営にも注力しており、Facebookグループやイベントの開催、Slackチャンネルでの配信、ポッドキャストなど情報の発信や収集、交流を深めています。


theSkim

20代の女子大生向けに政治・経済情報をニュースレターで配信するサブスクリプション型メディア「theSkim」。経済や政治といった重めの情報をシンプルにまとめて、すぐ読める。さらに語り口も重くない。すでに350万人の会員数を持つまでの規模にまで成長しており、21世紀フォックスから800万ドルの資金調達に成功し、累計で1800万ドルの資金調達を達成しています。

立ち上げたのはDanielle Weisberg氏とCarly Zakin氏の2人。収益には有料会員の他にネイティブ広告があるようです。


FactorDaily

インド生まれのテクノロジー系メディア「FactorDaily」。2016年にPankaj Mishra氏をCEOに創業されたFactorDailyは、当初はFacebook、Linkedln、Mediumから始まり、その後Webサイトが立ち上がりました。

FactorDailyはインドで新しいデジタルプラットホームになることを目指されて設立され、インドで主流となっているテクノロジーの流れを、インドの人々に伝えるためにストーリーテラーとして語っていきます。記事として中心的な話になるのは、インドに最も影響力を与えるテクノロジー企業やライフスタイル、ガジェットを中心に。またFacebook Messengerボットを動かす予定もあるそうです。

100万ドルの資金調達にも成功しており、当面は収益化よりもブランドの構築、そしてメディアとしての高い評判をFactorDailyは目指しています。


SkyGrid

時代を先取りしすぎたのでしょうか?2018年8月の記事執筆時に「SkyGrid」へのアクセスを試みたところ、おかしなサイトへ行き着き、すでにサービスは終了しているようです。

しかしシリコンバレーで2005年に創業。サービスの内容としては企業向けNewsPicksという感じです。公開企業のニュース情報を集め、ユーザーは集めたいニュースを選別できる他、株価や気になっている分野などの専用ページを作ることが可能。過去のニュースも調べることもできたそうです。

サービスは2008年にローンチして半年ほどで100アカウントを獲得。1330万ドルの資金調達にも成功しており、順調に行くかと思われましたが、1ユーザーにつき月500ドル払う必要があり、非常に高い。トレーダーや企業向けとして当初は登場したそうな。その後、売却したのか倒産したのかは不明ですが、いずれにしても当時としては新しいサービスであったことに違いありません。


Quartz

最近ユーザーベースが北米のNewsPicks事業を拡大するために買収したビジネスメディア。親会社はAtlantic Mediaで、創業者はKevin J. Delaney氏とJay Lauf氏。ユーザーベースには82億円近くで買収されたのだとか。メディアとしての特徴はクオリティ重視。メディア企業としてはかなり「デザイン」に凝っているそうです。サイトデザインは5回も書き直しており、サイトの読み込み速度も重視。モバイルからの集客も重視しています。

メディアは国際展開も充実していて、インドやアフリカにもあるとか。今までは広告による売上に依存していましたが、今後はユーザーベースと共にサブスクリプションの収益化を狙って有料コンテンツの制作に注力していく構えです。

蛇足ですが、サブブランドも開始しており、「Quartzy」「Quartz at Work」の開始。最近では動画にも注力していてInstagramYouTubeFacebookへ動画を展開しています。Facebookには新たに始まる「Watch」へもコンテンツを提供する予定です。


BuzzFeed

うっかり忘れていたのですが日本でも展開していて上場の噂も聞かれているメディアを思い出しました。

一世を風靡したバイラルメディアの先頭打者「BuzzFeed」。Googleの検索を重視するのではなく、TwitterFacebookなどSNSを重要視した「バズる」コンテンツを提供してPVを一気に上昇。ただ内容がオリジナルというより他のコンテンツやメディアからの良いとこ取り。今でいうキュレーションメディア寄りでこれが少し問題になってオリジナルコンテンツを提供したり。

エンタメよりで、誰かの話のネタになるようなコンテンツばかり配信してきた同社ですが、政治といった社会的な情報も流すようになりユーザーから大きな支持を集めました。

またTastyといったバーティカルな「食」の動画メディアを開始して、これが大きく当たります。今では世界的なレシピ動画メディアへと成長しました。

一方で上場も噂される同社ですが、どうなのでしょう?創業2006年。そろそろ上場しそうな雰囲気も感じられることもないですが...


Vice

アングラ系ですが、ニュースもやっている「Vice」。元々はカナダでフリーペーパーをやっていた創業者でCEOのShane Smith氏。創業は1994年と古く、最初は3人で創業したそう。名前も「Voice of Montreal」という名前だったとか。扱っている内容も渋く、パンクやドラッグなど、さらには紛争地域への取材とかヤバい内容ばかり。でも、そんなところが評価され、特にタリバン北朝鮮イスラム国や麻薬組織への取材動画はヒット。他にもチャネルを拡大して3億人近くの人々に支持されています。

そんな同社は資金調達にも成功しており、評価額57億ドルで4億5000万ドルの資金調達に成功。上場も近いと噂されています。ちなみに、あのディズニーも出資しているとか。さすが世界一のコンテンツメーカー。Viceが提供するターゲットはミレニアル世代。若い世代に受けるコンテンツを制作し、そのコンテンツを世界中に販売。またエージェンシー機能として広告事業も積極的に行なっています。

独自の価値を提供するVice。今後、見習うべきはViceのような独自の価値を提供できるメディアブランドなのかもしれません。


Gigaom

シリコンバレーを代表数するテック系メディア「Gigaom」。すでにサイトは閉鎖されたという情報がありますが、なぜか2018年8月現在まで閲覧可能。サイトも更新されています。大丈夫だったのかな?

このサイトは2006年に記者として働いていたOm Malik氏が自身のブログを大きく事業として拡大させたことが始まりでした。資金調達にも成功し、True Venturesから800万ドルの資金調達に成功しています。

月間UUは600万程度で、マネタイズ方式には有料のコンテンツ、カンファレンス、専門分野へのリサーチで事業を拡大させていきましたが、トラフィックの向上と有料コンテンツへのCVを求め過ぎて、編集領域を拡大。長期ではなく短期的な利益を求める姿勢になり、もともと技術に関心のある層から離れる結果になりました。

また度重なるコストにより圧迫。中途半端な広告モデルへの転換への失敗。BuzzFeedという強力な競合の誕生。さらに創業者であったOm Malik氏の不在。

これらの結果からGigaomは債務不履行からの操業停止へ陥る結果になりました。

ディアビジネスの難しさ、成長の仕方の難しさを伝えたい訳ではありませんが、個人的には早くから有料課金を初めていたことは先見の明があったのだな、と関心しました。ただそれが上手くいかず、結果的に悲惨な幕引きで終わりました。メディア...というよりビジネスをやり続けるには確固とした軸が必要な気が、Gigaomを見て伺えます。


Toutiao

中国版グノシーという感じでしょうか?ニュースアグリゲーションアプリ「Toutiao」は、独自でコンテンツを提供しているのではなく、9000社の記事コンテンツをAIを利用してパーソナライズな情報を提供しています。

コンテンツを配信するのは記事以外にも動画、特にミニ動画が売りで、他にもSNS機能やEC機能があります。またコンテンツの配信は個人でも可能で、身分証明書を提出すれば誰でもアカウントを開設できます。そのため2015年の段階ではアカウント総数が39万個まで拡大。そしてそれに比例するように2016年でユーザー総数が1億5000万人近くに及んでいます。

提供している企業はBytedance Technology。日本でも人気な「Tik Tok」を運営している企業です。最近では評価額8.3兆円で30億ドル近くの資金調達を予定しており、実現されれば未上場スタートアップでUBERに次ぐ評価額になります。


Cheddar

テキストではなく動画ですが...興味深かったので加えてみました。

BuzzFeed元代表であり、社員数15名だった頃から4年間在籍していて年間売上を6000万ドルまで増やした人物。名前はJon Steinberg氏。そんな彼が作ったのがミレニアル世代向けのビジネス動画メディア。特徴的なのはライブ動画と、FacebookYouTube、Snapchatなどへ配信する分散型の特徴。コンテンツ自体の特徴としてはGoogleFacebookなどテクノロジー系企業の株価を中心に提供していきます。このコンテンツ方針もミレニアル世代への調査から決定したもの。

またマネタイズ方式はNetflixSpotifyなどへの大手メディア、コンテンツ企業へのコンテンツ提供、番組販売、そしてネイティブ広告になっています。

資金調達にも成功しており、4回目のラウンドで2200万ドルの資金調達に成功。累計調達額は5400万ドルにまで及んでいます。出資を行なった企業の中には電通ベンチャーズも加わっており、日本への進出も画策しているそうです。


Banjo

ニュースメディアとは少し違いますが、ニュースパブリッシャーのためのデータ分析を行う「Banjo」は、最新のニュースをSNSで報じられる前に最新のニュースに関する画像データをリアルタイムで分析してNBCやFoxといった大手メディア企業、公共機関へ提供しています。彼らが目指しているのは水晶玉となることです。水晶玉とは、文字通り占い師が用いる未来を見通す玉です。

Banjoが生まれたキッカケは2013年のボストン・マラソンでのテロ事件がキッカケでした。CEOであるDamien Patton氏は、そこにいる人々が何が起こったのか分からずに混乱していたことを目にし、もし目撃者が動画や写真を素早く配信できれば重要な情報をもっと早く知ることができるはずだとPatton氏は考えました。

ただ当初はBtoBよりBtoC向けのプロダクトとして始まっており、シリーズBラウンドの資金で現在のプロダクトへピボットしました。そしてシリーズCで1億ドルの資金調達も行なっており、投資家にはあのSoftBankも加わっています。


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国内の事例まとめ

海外事例多い...

正直国内の事例に至る前に力尽きる勢いでした。逆に海外と比べて国内は少ない印象。国内ではサブスクもメディアも出てきていますが、AIという印象が強いです。純粋なコンテンツ勝負のメディアは日本では競争難しいのかな?つい最近ではキュレーションメディアやバイラルメディアが流行っていましたが、そのブームも去りましたからね。


Stockclip

サブスクリプション型ビジネスメディア「Stockclip」。2017年7月に創業したてのまだ若い企業ですが、サービス登場から多くの方から支持を得ているメディアです。

メディアの特徴としては日本、アメリカ、中国を中心に経済情報を集め、それを分かりやすい文章と、グラフ化、図式化されることで情報の取得を容易にしています。また決算資料や四半期短信など他のコンテンツも充実しており、ビジネスマンにとっては無くてはならないメディアになっています。上手く表現できない...

僕も「Stockclip」好きなのでよく見るのですが、日本では中々集めることが難しい中国企業の決算情報まで網羅されていて凄いです。ただ高いんですよね、月額1980円。かなり強気な数字です。ただ利用者は格段に増えているんですよね。めっちゃ使いやすいから...最近だと企業向けプランとして月額10000円プランが開始されました。これまた高い...それだけ情報、コンテンツの需要が高まっているんですね。


NewsPicks

ユーザーベースが力を入れるもう一つの事業「NewsPicks」。最近だと、先ほど紹介したQuartzを買収して北米事業のコンテンツ力を強化する動きを見せています。2013年に始まったNewsPicksは、経済メディアの記事をグノシーのようにキュレーション形式で見れるメディアで、ユーザーはアカウントを作って記事に対してコメントを載せることが出来ます。

またキュレーションと平行して独自コンテンツの制作も行なっており、プレミアムプラン月額1400円でしか見られないオリジナルコンテンツの制作に力を入れています。最近では記事コンテンツの他に書籍やイベント、動画やライブ動画、またマネタイズの方式として人材、動画への広告戦略やコンテンツ販売も強化しています。

全く新しいメディアの形を作ったNewsPicksですが、経済をもっと面白くし、さらにグローバルで世界一になることを目指しています。


JX通信社

記者が1人もおらず、代わりにエンジニアが多数在籍するテクノロジー企業「JX通信社」。運営しているメディアは「NewsDigest」といって国内のニュースや事件、災害をいち早くキャッチして一般の方に伝えることができるサービスで、どこよりも素早く情報を手に入れられるメリットがあります。

そしてもう一つ特徴的なサービスが報道機関向けにSNS上に流れる投稿を解析して配信するサービス「FASTALERT」があります。今まで報道機関が人力で行なっていた企業をサービス一つに任せることで余計なリソースを割く必要が無くなりました。主にテレビ局や地方紙、新聞などに提供されています。他にも様々なサービス、メディアを運営していますが、それら全てがAIによって情報を提供できるようになります。

AIによって記者の仕事が無くなると言われていますが、JX通信社は新しい形のメディア企業であり、通信企業なのかもしれません。


Spectee

SNSからAIによってニュース性の高いトピックを検出して、それを使用承諾を得てからプラットホームから、または提携している報道機関へ映像などを販売する仕組み。

それが「Spectee」。資金調達にも成功しており、AP通信との提携も果たして北米進出にも軸足を伸ばしています。すでに複数の報道機関とも提携を果たしており、動画素材販売で大きな売上を獲得しています。創業は2014年2月。2016年から現在の報道機関向けのサービスを始めました。北米への展開で今後に期待が高まる同社です。


まとめ

めちゃくちゃ多い…

多分探せばまだありますね…動画を含めるとまだまだありそう。全体としては少し前までの「受ければイイや」系のメディアは減ってきた気がします。

そのメディアでしか出せない価値。
あとコアなコンテンツですね。深みが大事です。なのでサブスクリプション型のメディアが増えてきている印象です。

メディアの収益の方法で米国ではサブスクリプション型の収入のほか、コンテンツ販売も目立ちました。また広告もバリバリやっている感じですが、メディアあるあるでそれに依存するのは怖いので他の収益源を探しているのはどこも同じな印象です。

だからメディア以外の活路を探してイベントや付帯サービスの展開を急いでいます。

またAIの進展がメディア業界で巻き起こっていますね。この方向は日本の方が顕著なのでしょうか?特にJX通信社とSpecteeは完全にテクノロジー主体の新しいメディア企業となっています。

紹介し忘れていますが、日本ではグノシーやスマートニュースもありますし、やっぱりAIやテクノロジーの力は強大ですね。ここにコンテンツ主体のメディア企業がどう渡り歩き、より大きな収益を手にするかが鍵となりそう。

また中国でもToutiaoといった似た感じのものが生まれています。やっぱりAIか。

今後のメディアの争い方としては2つの方向性かな?1つはテクノロジー主体のメディア。もう1つはコアなコンテンツを提供して、コンテンツ自体で収益を上げる方法。

逆に中身スカスカなキュレーションやバイラル、あとSEO依存のメディアは厳しいかも。天下取っていれば話違うかもしれないけど。今からやるとなれば大きなとこまで行けずに限度がありそうなイメージです。何故ならブランドを発揮できないから。

とりあえず、メディアの熱戦はまだまだ続きそう。もともと障壁は低いですし、これをどう高く見せられるか。以上。


参考
中国メディア 「Debug the World」テンセントTOPIC5.1憶円出資ーチャイナパス:ChinaPASS

台湾のニュースポータル「The News Lens(関鍵評論)」、コンテンツチャネルの多様化に向けシリーズBラウンドで資金を調達 - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)

台湾の独立系中国語ニュースポータル「The News Lens(関鍵評論)」、テックニュースポータル「INSIDE」を買収 - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)

YouTubeとTwitchの共同設立者ら、台湾のニュースサイト「The News Lens(関鍵評論)」に出資 - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)

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