開戸日記

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自動車や自転車に続き「バス」も...「バスサービス」を提供する海外スタートアップ12選まとめ

UBERLyftといったライドシェアサービスや、モバイクやofoといった自転車シェアサービスなど、何かと移動系サービスが話題になります。しかし、自動車や自転車が話題になるのと反面、「バス」のスタートアップが話題になりません。

もしかして「バス」のスタートアップはない?でも、いつか解説した「Cabin」のようなスタートアップが他にもあるのではないかと思い探してみたところ、海外ではすでにいくつか立ち上がっていて中には潰れているものも。

もしかしたら日本にもトレンドがやってくるかもしれないと思い、まとめてみました。


Cabin

ホテルのようなバスを提供する「Cabin」。元々は「SleepBus」と言うバスで寝るためだけのバスを、ホスピタリティ抜群のサービスとして充実させたのがCabinです。バスの中は快適な寝台もあり、仕事やおしゃべりをすることができるスペースもある。

さらに一人ずつにアイマスクや顔拭きシート、耳栓に睡眠サプリなどなど。寝台にはWi-Fiや電源もあり、起きたら乗務員がコーヒーを注いでくれます。ただバスの運賃が普通の夜行バスや飛行機よりも高い。また運行もロサンゼルスからサンフランシスコ間しかないのですが、今後運行本数も増やしていくとのこと。

資金調達も完了していて、330万ドルの資金を調達。自動運転が活躍する未来、長距離交通網が発達していくことでしょう。そんな未来では、ただ車の中に乗っているのは退屈です。Cabinはその未来を見据えて、ホスピタリティを充実させたバスを目指しているのです。


Cabinについて更に詳しく
【走るホテル】夜間バスのスタートアップ「Cabin」は安さよりも質を重視 - 開戸日記


FlixBus

最近アメリカでも展開しているドイツ生まれの「FlixBus」。同社はデータドリブンなバス運行を目指しています。FlixBusのユニークな特徴は自社でバスを保有するのではなく、地元バス会社と提携して「FlixBus」としてリブランドします。

そしてバスの路線決定やブランディングマーケティング、切符の販売などを行なっています。特徴的なのはアメニティの充実。低運賃なだけでなく、ECでの購入が可能。さらに車内ではWi-Fiや映画鑑賞、友人とお喋りすることも可能です。さらに面白いのが、FlixBusがこれらから収集した様々なデータを活かし、路線や時間、価格の決定を行なっています。

今後はバスだけでなく列車にもサービスの幅を広げていくつもりで、UBERとはまた違ったサービスの魅力を届けてくれそうです。


Shuttl

インドを拠点として活躍する通勤用シャトルバスサービス「Shuttl」。バスが自動車の通勤以上に路面面積や環境面で優れている点が評価され、渋滞と公害を抑えると期待されています。またShuttlは座席ベースの需要適合型になっており、さらにAmazon Alexaを通じて「声」を切符代わりにできるのだとか。

現在はデリー、コルカタなどのインド主要都市に4万5千便を運行しており、150路線で800台のバスを運行しています。すでに1100万ドルを調達しており、今後は対象地域を広げていく予定になっています。


Citymapper


都市交通アプリ「Citymapper」が始めた商用バスサービス。特徴的なのは全身緑色に覆われたバスだけでなく中身。乗客に常時、走行地点を知らせてくれる大型スクリーン。このスクリーンは走行地点だけでなくバスが今、移動しているのか、それとも待機、停止しているのか知らせてくれます。

さらに座席状況を知らせてくれる仕組みまで。座席状況はおそらくアプリから教えてくれるのでしょう。決済にはクレジットカードか、非接触デビット。またアプリからApple Pay、Android Payを使用することが可能です。

そして各座席にはスマホの充電ができるUSBポートがあります。これは嬉しいですね!アプリからは正確な停車時間も測れるので、乗り過ごしや凄く待たされることを防ぎます。

さらにCitymapperが革新的な点はユーザーの移動データを集めて、交通サービスが不足していると思われる地域を特定することができる点です。最終的にはこれを大きく拡大していくつもりのようです。サービスはすでにニューヨーク、ボストン、サンフランシスコと、さらには日本の東京までサービスを広げており、5000万ドルの資金調達にも成功しています。

バスサース自体はまだ東ロンドンにて午前9時から午前5時までしか運行していませんし、サービス開始当初は運行の免許を獲得していなかったため無料でサービスを提供していたのだとか。これからの益々のサービス拡大に期待が高まります。


SWAT

シンガポールを拠点とするミニバスのライドシェア「SWAT」。それまでのライドシェアとは違い、提供しているのが普通の自家用車ではなくミニバスなので大人数での利用が可能となっています。最低4人から13人までの乗り降りが可能です。通勤バスとして利用するので「事前予約乗車」「定期乗車」「オンデマンド乗車」といった複数のサービスを提供しています。

また複数のミニバス企業と提携してサービスを運営しており、商用車のレンタル企業を通じて自社のミニバスのリースも行なっています。

すでにユーザー数は1万人を超えており、220万ドルの資金調達にも成功しており、今後は人員を強化してサービスの対象地域の拡大、最終的には乗車数でトップを狙っていきます。


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Bustiket

インドネシアで生まれたバス乗車券のオンライン予約ブラットホーム「Bustiket」。現在はWeb版とアプリ版でしか利用することはできませんが、すでにジャワ内のバス運行業者70社と提携しています。

そもそもジャワ島の課題として長距離の移動は鉄道や飛行機、または長距離バスに限られていました。鉄道や飛行機は価格が高いため安く移動を行いたいのならばバスで...という話なのですが、バスの乗車券は店頭販売なので場所が限られており、なおかつ時間もかかります。しかし、オンラインにすることで速やかにバスの乗車券を購入することをBustiketは可能にしました。

またBustiketが生まれた背景はインドネシアの急速なインターネットの普及が挙げられます。従来と比べてインターネットを使いこなす人が急速に増えつつあり、このような背景からか、窓口が少なく長時間待たされるバスの乗車券販売をオンラインすることが可能になりました。

気になる競合としてはインドネシアには交通大手の「Go-Jek」がバス関連サービスを誕生させる予感がありますが、楽天レシピがクックパッドに勝らないように、分野に特化することが一つの強みになるかもしれません。


Magic bus Ticketing

アフリカのケニア、首都ナイロビを拠点に通勤バスの予約をすることができるサービス「Magic bus Ticketing」。このサービスはアプリではなく「SMS」を利用して通勤バスの予約、バスタイプの比較、費用の支払い全て完了させることができるサービスです。

機体もガラケーOKで、もちろんスマホからの利用も可能。ショートコードを入力して必要な手順を踏むことでバスの予約を完了させることができます。なんと全てSMSによるメッセージで完結するので驚きです。

このサービスが生まれた背景にはナイロビの混雑な状況が挙げられます。バスの料金は固定ではなく変動し、待ち時間は長い。先ほどのインドネシアのような状況がケニアのナイロビでも引き起こされていました。

すでに10台のバスと提携が済み、2000人のユーザーが利用しています。またビジネスコンテストで100万ドルを獲得するなど注目のサービスです。


HopOn

イスラエル生まれの超音波バス乗車チケット「HopOn」。なんと機械に接触することなくアプリが立ち上がっていれば自動で認識することができるシステムを提供しています。購入にはスマホから。定期券の発行から子どもや高齢者向けの割引にも対応しています。

決済を認識するのは「超音波」から。バスに搭載する受信装置で認識するだけ。複数のアプリから同時に認識することも可能です。いちいち二次元バーコードを利用することも、スマホの位置を確認する必要もありません。

今まで以上に楽に決済して乗り降りすることができます。今後はバスだけでなく、鉄道にも対応することができるかもしれませんね。


Chariot

バンのスタートアップ。ミニバスと考えてもいいかも。自動車よりは人を多く運べる飾り気のないバンになっています。「Chariot」が生まれた背景にはUBERといったライドシェアサービスの浸透が挙げられます。UBERは主に自家用車など、普通の車に乗客を乗せるので容量の問題がありました。

そこでChariotのサービスでは自動車ではなく、人が多く、なおかつ大型バスよりも小さいバンに特化。バンはレンタルして運転手を雇い、営業者用の保険も完備。ガソリン代用の資金を揃え、さらに駐車場からWebサイト、クレジットカード決済まで揃えました。

このような一気通貫でサービスを提供し、さらに自社で運転手まで雇い入れることで4万人の利用が可能になる人気サービスへと成長しています。

また面白いのは運行ルートの決定です。
運行ルートの決定はクラウドファンディングで決定します。候補の運行ルートをクラウドファンディング「Tilt」を通じて、希望する運行ルートに対して回数券や定期券を申し込みます。

一定基準に達したらルート決定で運行するという仕組みです。値段も安くて移動も早く、ただ簡素なバンの中に乗るというだけ。今後も地域へのサービス拡大に期待です。


Leap Transit(倒産)

オシャレ感満載の通勤バス「Leap Transit」。大型バスを改装してWi-Fiもある、Blue Bottle Coffeeもある、お菓子もあるなどいい事尽くし。通勤者にとっては移動中に仕事もできるので快適ですね。通常車両のCabin版と言ったところでしょうか。

ただ残念ながら、今はもうありません。カルフォルニア州の公益事業委員会から無許可営業を理由に業務停止命令、アンド車椅子の装置が米国障害者法に違反しているなど様々な法的な理由からバスは競売にかけられ、同社のSNSは沈黙。おそらく倒産下のでしょう。

サービス自体は面白く、もし法的な問題をクリアしていたら米国中に広まっていたのではないかと残念でありません。急成長を目的にするスタートアップならば、法律の壁はどうしても避けては通れませんね。


Nightschool(倒産)

同じく倒産したバススタートアップ「Nightschool」。このサービスは深夜帯に動いていない電車の代わりに、現役のスクールバスをリースして深夜間のみ輸送します。遊休資産の活用にもなるのでwin-winになるサービス。さらに深夜帯で移動手段のなくたった人たちに必ずサービスを届けられるメリットがあります。

一見上手くいきそうなサービスなのですが、法律的な問題もチラホラとあったよう。ただ一番の問題は資金が足りなかったそうです。VCに繋がることが出来なかったか...いづれにしても今はもう存在しないサービスです。


まとめ

調べてみるとバス関連のサービスは思っていたよりも出ていますね...

日本ではUBERといったライドシェアサービスが注目されていますが、海外ではライドシェアの次くらいにバスが注目されつつあるのかもしれません。

UBERにどれくらい匹敵していくのかは分かりませんが...ただ全体を通してみると効率性は前提としてありながらも法律を尊守している姿勢、Wi-Fiや電源といった今だからこそ提供できる付帯サービス、さらにアプリとの連携やアメニティの充実など、成長するバスサービスの特徴が伺えてきます。

やはり「移動+何か」が今後のトレンドか?少なくとも新興地域では効率化の方が重要視されていそう。他にどのようなバスサービスが生まれるか注目していきたいですね。


参考
LA-SF間の寝台バスCabinが$3.3Mを調達、飛行機より高いけど人気 | TechCrunch Japan

”走るリッツカールトン”――アメリカで話題の寝台バスCabinに乗ってみた | TechCrunch Japan

寝ている間にロサンゼルスからサンフランシスコへ! Cabinの夜行バスはすごかった | BUSINESS INSIDER JAPAN

ドイツのデータドリブン型バス会社FlixBusがアメリカでローンチ——バス移動をもう一度クールなものに - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)

ドイツで進化型のバス運行サービスを提供するFlixBus、こんどは鉄道旅行の改革を目指し「FlixTrain」をローンチ - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)

インドの通勤用シャトルバスサービス「Shuttl」、Amazon Alexa Fundや電通ベンチャーズなどから1,100万米ドルを調達 - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)

交通アプリ「Citymapper」、ロンドンで初の商用バスサービスをローンチ - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)

CM2- Night Rider, our first ££ commercial bus route

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